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市場からだいぶ離れた場所まで走ると、キアはルリの腕から手を離した。
キアは空いた両手で膝につき、乱れた呼吸を整える。
その後ろでは、ルリも同じように乱れた呼吸を整えつつ、片方の手で扇のようにあおいでいた。
「うわぁー。結構走ったから暑ちぃなぁ」
服の合わせ目を摘み、パタパタとあおいで服の中に空気を入れるキアに、ルリは後ろからギロリと睨んだ。
「その原因をつくったのはあんたでしょうがぁー!!」
「はあ?俺から仕掛けた喧嘩じゃないぞ」
「だからって!
あそこまで派手にやる程でもないでしょう!!」
「あれでも抑えてやったんだ。逆に感謝してほしいね」
「あれが!?思いっきり店破壊してるじゃない!」
「あんなの、店に体当たりする泥棒が悪い!よって俺のせいではない!!」
「自分勝手もいいところね!!」
頭上で主人たちが道の真ん中で、しかも大声で騒いでいることに、マリーナはまるで人間が眉尻を下げて困っているような表情を浮かばせ「きゅう~~」と、か細く鳴いた。
無論、マリーナの泣き声には2人とも聞いちゃいない。
それどころか、この辺りは市場から離れているため人通りは少ないが、それでもたまたま通りかかる人に注目されていた。全然気が付いていないのだ。
仕方なしに、マリーナはまだ喧嘩する主人たちに知らせるため、服を口にくわえて注意を促そうとした時だった。
「おやおや、道端で喧嘩とは……………。
サンティエーラ様がお悲しみになられますよ」
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