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「……バレちゃ仕方ないですわね」
両方の口角を三日月のように吊り上げ、不気味に笑うサラ。
サラはおもむろに、被っていたコイフを脱ぎ捨てた。
脱ぎ捨てると群青色の長い髪が零れ落ち、何度か頭を振りかぶるとそれはまるで、穏やかな波のように見えた。
「何が目的なの?」
いつ攻撃されてもいいように、ルリは構えながら注意深く尋ねる。
キアも腰を低くし、剣の柄を握った。
一方のサラは悠然と腕を抱え込むように組み、その顔には笑みさえも浮かべている。
しかしその笑みは、先程までの穏やかなものではなく、腹の底が知れぬ得体の知れない笑みだ。
「ふふふ。そんなに警戒しなくてもよろしいのでは?」
「質問に答えろ!」
キアの握る力が一層、強まった。
サラは欝陶しそうに髪を掻き上げる。
「目的なんて、そんなものは後でもよろしいでしょう」
「ふざけないでッ……!」
「ふざけてなどおりませんわ。それよりも、周りをごらんなさい」
殺気が、感じられた―――――。
それは、常人なら決して感じることのない、微量な殺気――――。
だが、キアとルリは一瞬でその殺気を察知すると、すぐさま行動に出た。
2人ともそれぞれの方へと飛び、上からやってくるだろう敵をかわす。
ドゴォォォオオォォ
と、上からの殺気は強烈な音をたてて地面を割った。
しかも、拳でだ。
キアは剣を半分だけ手前に引き抜いた。
キイィィイイィィン
と、今度は剣と剣がぶつかり合う音が辺りに響き渡る。
その手には小刀が握られていた。
地面を割った者は黒いマントに仮面を被っていて顔は分からないが、その体躯はガッチリしており、マントの合わせ目から見えるその腕は丸太のように逞しい。
小刀を握る者も黒いマントに身を包めていたが、こちらは仮面は被っておらず、フードで顔を隠している。
その体躯は仮面の者に比べて華奢だ。
互いが睨み合う中、サラは三日月の笑みを深くさせ、心底から楽しそうに言った。
「ゲーム、開始です………」
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