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刃と刃が噛み合い火花が生じた。
刃は噛み合わさったままギリギリと互いに押し合うが、キアが振り払うように押し返すと、それはいとも簡単に後ろへと飛び去り、また構え直す。
キアもいつ攻撃されてもいいようにと、剣を強く握り直すと、敵の動きを見極めるように睨み付けた。
スピードは速いほうだがそれでも見極められないというわけではない。
それに、力はそんなにない方だ。
ただ問題をあげれば敵の武器が短剣だということ。
まあ、それも懐に入れなければ問題ないが。
勝てない相手ではない。
(動きさえ押さえ込めば一気にかたがつく……!)
先に動いたのは敵の方だった。
短剣の先をキアの心臓にピタリと定め、真っ直ぐ突っ込んでくる。
それに後退もせず、待ち構えるように剣の柄を両手で握り締める。
歩幅がそんなに広くない分速さでキアとの間合いを詰め、後一歩で懐に入れる所だったが、それまで待ち構えていたキアがその一歩を踏み出し、両手に握られた剣を下から掬い上げるように一閃を放った。
その力に押され、敵の手から短剣が離れ、宙を描くように飛んでいくとキアの後ろに突き刺さった。
それは小さく舌打ちすると、すぐに後ろへと飛び去り後退する。
が、キアは一瞬の隙も与えずその長い足で一気に間合いを詰めると、殺さない程度に剣の柄でみぞおちに一発入れた。
ドスッ
鈍い音がキアの耳に届く。
(入ったッ……!)
それは、確かな手応えが感じられた。
しかし――――――――。
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