121人が本棚に入れています
本棚に追加
「………クッ!」
数本の短剣がキアを襲いかかってきた。
何本かの髪を犠牲に、キアは何とかそれらを避ける。
その際に剣を大振りに振るったが、フードの裾を切っただけで避けられてしまった。
キアは慌てて後ろへと後退し、片膝を地面につく。
その時になって、ようやく頬にも切り傷を負っていたことに気が付いた。
頬から流れる血が顎をつたってゆき、地面に滴り落ちていく。
敵はゆっくりと立ち上がり、切り開かれたフードの垣間見えるイエローダイヤの瞳が、キアを睨み付けた。
「……暗器か」
忌々しそうに呟くキアは、内心で盛大な舌打ちをした。
(厄介だな……。暗器となると一体何処に隠しているか分かんないからな……)
それは腰を落とし、いつでも第2波を放たれるように構えをとる。
その両手の指の間には全部に短剣を挟んでいる。
(仕方ない、か……)
ゆっくり立ち上がり、攻撃に備えて剣を手前に両手で構える。
足を開いて重心をとり、しっかりと地面を踏み締めた。
妙な構えにそれは訝しげに目を細めた。
キアはそれを嘲笑うようかに口角を吊り上げ、口を開いた。
「知ってるか?」
最初のコメントを投稿しよう!