初恋

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後悔と悲しみと猜疑心のまま、私は眠るしかなかった。泣き出しては泣き崩れて泣き疲れた。深い夜を感じた。深い闇は夜だけじゃなく、私の心をも覆った。ただ、私は闇の色を想像する事しかできない。想像すると、やはりあの黒いクレヨンがでてきた。 夜の闇のように、深い眠りについていたら、誰かがそっと病室に入ってきた。気配ですぐにそれが遊だと分かった。 「ななみ…本当に、ごめん…」 「・・・・」 私は寝たフリをし続けた。なぜか起きてはいけない気がしたからだ。 「ななみに、プレゼントをあげるよ。」 「・・・・」 「…想像してごらん。ある朝、君は目が見えるようになっている。そして枕元を見れば、そこには素敵なプレゼントが置いてあるんだ。」 この目が見えるようになるなんて、信じられなかった。 遊の手はゆっくりと私の髪を撫でた。 「そしてそれは、そんなに先じゃない…」 彼の声から、分かった。彼が悲しんでいる事や、彼は嘘をついてはいなかった事が。 「じゃあね…ななみ…また会おう」 遊が去っていく音がした。気配を感じながら、明日、謝りに行こうと思った。また会えると思っていた。 その真夜中、遊の部屋はまた騒がしくなった。私はまたかと思いながら、昼間疲れた事もあって、さして心配もせず眠った。 また会えるなんて、そんな保証どこにもなかったのに。私は油断していたのだ。 次の日、朝起きた瞬間に医者が私の元へやってきた。 「ななみちゃん、目が見えるようになる方法ができたんだ。明日すぐに手術しよう。」 「えっ!?本当ですか!?」 「うん、だから今日一日安静にしてないといけないから、この部屋から一歩も出ちゃいけないよ。」 「…?はい。」 私は手術の内容をさして詳しく聞かなかった。それは私が目を失った時に、目を治す方法が見つかったらたとえどんな方法でもすぐに行ってほしいと言っていたからだった。 私は遊に会えないまま、手術をして、麻酔やらなんやらで一週間ぐらい病室から出なかった。
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