142人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっといいか?」
茶髪のメッシュ頭の奴が言った。
「兄貴、さっさと終わらせようぜ。」
もう一人は黒い坊主頭。耳には十字架のぶら下がったピアスをしている。
服装は二人とも制服姿。
紺色のブレザー。
白いシャツ。
黒のネクタイ。
チェックのズボン。
祖母の家に置いてある、明日から着ていく俺の制服と同じ。
「青徳の奴か?」
一応聞いてみる。
「俺らさぁ~。金に困ってんだよね。ちょっと貸してくんない?」
俺の質問は無視か。
「財布出せよ!」
黒い坊主頭が近寄って来た。
「すまないな。他人に貸せる金は無いんだ。」
面倒は避けたい。
そう言いながら周りを見渡す。
下校途中の同じ制服の奴や、通りすがりの社会人。
みんな見ていないフリをしている。
その様子を見て俺は下を向き、少し笑った。
「何笑ってんだぁ!?」
黒い坊主頭の奴に胸ぐらを掴まれた。
後ろにいる茶髪のメッシュ頭が言う。
「その綺麗な顔、怪我したくないだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!