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――――……
オレは小学校に入学した頃のお話。
その日は夏休みで前よりも大きくなった美優の面倒を見ていたわけで…。
なんで、子供ってこんなに成長早いんだろうね。
「美優…オレの指そんなに旨いか?」
――コクリ
美優はなぜかオレの指を舐めるのが好きでした…。
今はさせませんよ!
気を抜くとしようとしてきますが…。
デロデロになった指はさておき。
この時、母さんは妊娠していたため定期検診に行っているのでいないわけです…。
「そろそろ止めない?」
―――ブンブン
今度は首を横に振る。
離してはくれないらしい。
昼ご飯作らないとだめなんだけど…。
基本的に母さんが作ってくれていた物を暖めるだけなのです。
しかし、美優は離乳したとはいえまだお粥のようなものしか食べれないわけで…。
必然的に二人分別の食べ物を暖めないといけないため時間がかかり、気も倍つかうわけよ…トホホ。
なのにこの可わ…ゲフン…妹はオレの指をしゃぶりたくっているわけで…腹減ったから勘弁してほしいものだ…。
当時はよくあることで幼いオレはよく耐えたと思う。
―――プルルルルル
そんな時に電話の呼び出し音が聞こえてきた。
「お兄ちゃん電話とりたいから離してくれない?」
―――コクリ
今度は素直に離してくれました。
本当に用事の時は何故か素直なんですよ…。
本能でわかってるのか?
幼いオレは受話器を取った。
『浩介?ごめんね。お母さん入院しないといけないんだって』
「にゅ、入院!? 母さんどっか悪いの?」
アホなので何故か入院といわれて悪いことしか思い浮かばないオレ。
『違うわよ。赤ちゃんがもうすぐ生まれそうだからそのまま入院する事になったのよ』
母さんは笑いながら嬉しそうにいった。
「まじか、生まれそうって…明日に生まれそう?」
臨月を迎えていた母さんはいつ生まれてもおかしくない所までいっていたのだ。
『ん~さすがにそれはないと思うんだけど…念のためにね』
「晩御飯は?」
安心したオレは自分と美優の腹のことを考えた。
『それはおばあちゃん来てくれるから大丈夫よ』
「わかった。それから美優のことなんだけど、なんで美優ってオレの指なめるの?」
オレは何度も母さんに聞いてみるがうまい答えをもらったことはなかった。
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