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お兄ちゃん思いのいい子ですが母さんの言うことは聞いてくれ…。
｢タクシーよぶから美優チャンよろしくね｣
婆ちゃんは再び電話をかけるのだった。
｢美優、病院いくよ｣
｢びょういん。びょういん｣
なぜ繰り返したんだ？
腕回して喜んでますよこの子。
｢何で嬉しいんだ？｣
まだ訳わかってないはずなんだけど…。
｢いっしょ。お出かけ。いっしょいく｣
｢あ、あぁそういう事ね｣
美優は何処かに遊びに行くのだと、勘違いしてるようだ。
｢遊びに行くんじゃないよ。美優の弟ができるんだ｣
あれ？
そういや婆ちゃん『たち』とかいってなかったか？
オレはこのとき双子が生まれるなんて聞いてなかった。
｢あしょばないの？｣
すごく悲しそうな顔をする美優が俺を見てきた。
｢わかった。わかったから泣かないて…｣
オレは美優のその顔が苦手でしかたなかった。
今も苦手だけど…。
｢あしょぶ？｣
上目使いできいてきやがりましたよこの子。
｢相手したげるから泣かないで…｣
｢いきゅ！ いきゅ！｣
泣かないならもうなんでもいいや…。
投げやりなオレ。
美優は笑顔でまたブンブン腕を振っていた。
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