双子誕生

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婆ちゃんが呼んでくれたタクシーで病院までいく。 父さんは仕事次第で直ぐ来るらしい。 父さんは大切だと思ったらわりと早退する人です。 「婆ちゃん。母さん大丈夫だよね?」 分娩室の前でベンチにすわるオレと婆ちゃん。 「大丈夫よ。浩ちゃんのお母さんだもの」 婆ちゃんは笑顔で答えた。 中からは母さんの必死な声と看護婦さんの応援が聞こえてくる。 理屈なんていらないのだ。 ただ安心できる言葉がほしいだけ。 美優はまだよくわかっていないため、廊下で座り込むと持ってきていたオモチャで遊んでいた。 「美優~あんまり真ん中で遊ぶなよ…」 美優にはあまり関係ない。 スペースがあればそこは美優のフィールドなのである。 「にぃちゃう。ん!」 オレは人形を手渡された。 オレはどうしたらいいんだ…。 「あしょぶ」 「美優って、すげーよ」 母さんの必死な声が聞こえようと美優は自分のペースを崩したりはしない。 「にぃちゃう?」 不安そうにオレを見てきた。 美優は美優なりにオレに気遣ってくれているみたいに見える。 とにかく、無意味な不安でいっぱいなオレは二歳の美優に支えられている。 そんな気がしたのだ。
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