プロローグ 出会い

3/10
10917人が本棚に入れています
本棚に追加
/818ページ
「あなたに妹ができるの」 それを言われたのは四月の始め。 オレの誕生日が過ぎてすぐの事だった。 「『イモート』って、なに? 食べ物?」 アホなオレはそんなことを聞いてしまうほど痛い子だった。 「そうだな…十六年もたてば美味しくいた……イタッ!」 父さんはグーで母さんに殴られた。 父さんはこの頃からオレより残念な人だったと思う。 「何、意味わかんない事言ってんのっ! でも…この遺伝子が浩介にも伝わっているのね…」 母さんはとても悲しそうな、それでいて何か期待の眼差しでオレをみていた。 「食べたらだめなの?」 「だから…じゅ…イタッ!」 父さんはまた殴られた。 母さんは父さんを睨んだ。 かなり痛い人である事は皆さんおわかりのことかと思う。 「浩介は『兄妹』って、わかる?」 「わかんない」 そして、父の遺伝子を存分に受け継ぐオレ。 自信をもってニコッと母さんに答えた。 母さんは頭を抱えながらこう言った。 「明後日連れてくるからわかるわ…」 「人?」 其処で辛うじて人間だと認識するオレ。 昔のオレどんだけ残念なん子だろうな…。 「そう。浩介にも母さん達にも大切な人になるわよ」 母さんは優しく笑って頭を撫でてくれる。 オレは母さんに頭を撫でられるのが大好きだった。 オレはニコニコしながら母さんに撫でてもらっていた。
/818ページ

最初のコメントを投稿しよう!