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その後、病院から帰ってきた父さんと母さんは、中途半端だった話をするためソファーに座る。
美優は問題なかったらしい。
治療中も爆睡しており帰ってきてからも爆睡している。
こいつこの日、何時間寝てんだ?
この時ばかりは美優をベッドで寝かせていた。
「浩介。改めて母さんが話すわね。『血が繋がっていない。』て、いうのはね。『本当の兄妹ではない』と、いうことよ」
母さんは真面目な顔をして話してくれた。
「『キョウダイじゃない』って、どういうこと?」
本当に当時のオレはアホでスミマセン母さん。
「そうね~浩介は母さんが痛い痛い思いをして産まれてきたのはわかる?」
「うん」
何故か子供というのは、本能で自分の母親を理解しているような気がする。
今は何となくしかわかんないけど、愛情をくれてる両親は、血の繋がりとか関係なく感謝してる。
おっと、と、話を続けようか…。
「でもね、美優ちゃんは別のお母さんが痛い痛い思いをして産まれたの」
「美優のお母さんは?」
子供って、残酷だよな。
解らなかったら聞き返す。
大人になるにつれて、時や状況を考えて問いかけを聞いてしまう…。
場合によっては聞かないことさえある。
それが本当に良い事なのかは別として…。
母さんはその後、悲しい顔をしながらちゃんと答えてくれたんだ。
「死んだの。事故でね。美優ちゃんのお母さんとお父さん」
詳細についての話しはこれからもっと後の話になる。
この時に理解出来ていなかった部分を話してもらった。
オレが中学に入った頃だったとおもう。
死因は交通事故だったらしい。
急カーブでハンドル操作を誤った対向車のトラックが、正面から突っ込んできたらしい。
前に乗っていた美優の両親は即死だったって話しだ…。
当時、チャイルドシートを正しく装着していた事により、後部座席にすわっていた美優は奇跡的に助かったらしい。
この話を改めて聞いた日。
オレは両親に当時の事を思い出させてしまった事を一日後悔した。
そして、『兄としてもっと、ちゃんとしなきゃいけないんだ』て、思ったわけよ。
あっ、ごめん話過ぎたな。
本筋にもどそうか。
「『しぬ』て、なあに?」
純粋すぎるのか…アホなのか…アホなんだろうけど置いておこう。
「お星様になっちゃったの。だから、美優ちゃんは、お母さんやお父さんに逢えないの」
母さんは泣いていた。
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