10917人が本棚に入れています
本棚に追加
また、その次の日。
いや、ていうか、オレは対面したけど美優寝てたじゃん?
美優はオレのこと見てない訳よ…。
簡単にいうと『始めまして』て、いってないわけ…。
赤ん坊相手だけど…。
美優はオレが起きる前には起きていた。
父さんは仕事で既に家にいなかった。
オレは保育園に行かなくては行けなかったため当時だが起きていた。
時間があったので、ベッドで動いている美優の方に近寄る。
母さんはオレの弁当を作る最終段階を迎えていた。
「始めまして、オレは浩介。これからよろしくな美優ちゃん」
「アバアバアバ」
なにいってるかわかんね~けどまぁなんかこっちの言いたいことは解ってもらえたと解釈しようか…。
この時のオレがこんな風に思っているかは不明だがな…。
美優に挨拶がてら頭を撫でようとベビーベッドの柵の間から手を伸ばした。
柵は当時のオレの腕が入る程度に開いてたからな…今は絶対に無理だけど。
頭を撫でると嬉しそうに笑っていた。
天使の笑顔ってこういうの言うんだろうな。
オレも自然に笑顔になる。
妹最高!
何も知らない当時のオレはそう思っていたわけで…。
いや、違うぞ!
今だって可愛いと思う…思うけど…。
まぁ…後でいくらでも分かるから今は置いておこうか…。
オレは撫でていた腕を抜こうとした時、腕が全く抜けなかった。
「あれ?抜けない…。あっ!つかまれてるよ…」
そう。
美優に手首をガッチリ捕まれていた。
赤ん坊って、すごいよな。
想像以上の信じられない力を発揮する。
引っ張ろうとするが抜けない。
かなりの腕力で引っ張られている。
「浩介~そろそろ時間よ~」
母さんが呼んでいる。
わかっている。
行かなければならない。
しかし…美優が行かせまいとガッチリ捕まえていた。
「か、かーさん助けて~!」
俺は母さんに大声で救援を頼んだ。
母さんはその声に急いでかけ寄ってきた。
昨日の今日だ仕方ないだろう。
「どうしたのっ!」
血相かいて来た母さんは若干息が荒い。
「動けなくなったんだ」
ベビーベッドの柵に腕を突っ込んだ姿で入ってきた母さんを半泣き状態で見つめた。
「えっ!? 挟まったの?」
「ん~ん。なでなでしてたら美優ちゃんに捕まれて動けなくなったの…」
母さんに助けを求めて必死なオレ。
最初のコメントを投稿しよう!