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「え…今なんて…」
思わず擦れた声でしか反応できなかった。
と同時に自分の耳掃除を怠っていたことに後悔もし、もう一度目の前にいる、ふかふかの椅子に座っている社長を見た。
「解雇だよ、解雇。聞こえなかったのかね。」
ふかふかの椅子よりもクッション機能が高そうな体の社長は溜め息交じりで、そう言った。
―あぁ、空耳じゃなかったんだな。
そう心の中で思ったのは、俺、片桐景斗。今年やっとこさ20歳になり、成人として世の中に認められた矢先。
会社からは見放されてしまった。
「退職金に関しては、後日何らかの形で渡すようにするのだが…片桐くんと言ったね、一つ頼みがあるんだが。」
―おいおい、こっちには反論もさせてくれやしねーのかよ。
しかし相手は社長でこちらは入社は二年の平社員だ。言葉にはできなかった。
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