人生に保障はない

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「別れましょ。」 耳元から冷たい言葉が聞こえた。機械を通しているからか。ダイレクトに聞くよりも重く響いた。 「え?何で?」 俺は相手に聞き返す。 「…だって会社、クビになったんでしょ?」 そう更に冷たい言葉が返ってきた。 「で…でもさ。すぐに再就職するし、退職金だって少し出たんだ。生活はしていけるよ。」 俺は必死に電話の相手、彼女の詩織に伝えた。 「お金がある、ないの問題じゃないのよ。会社、クビになったんでしょ?」 そうしか答えない詩織。 「あぁ…」 そうしか答えられない俺。 「…景斗がブルースコープに勤めてるから、私は景斗に魅力を感じていたのよ。分からなかった?」 聞きたくもなかった真実を詩織は何の躊躇いもなく、俺に伝えた。
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