571人が本棚に入れています
本棚に追加
璃央は元々、涼子が嫌いだった。
自分と正反対の存在で奇抜い髪の色も、挑発的な性格も、全て気に入らない。
「会長って意外と負けず嫌いだよね?そこも悪くないけど…。」
「…なんです?」
ジリジリと壁においやられ、意地の悪い目で見下ろされる。
「もしアタシが、会長の秘密を知ってるって言ったらどうする?」
「……!?」
そういえば、今朝この女は屋上にいた。
まさか…いや、まだそうと決まった分けではない。
決まった分けではないが、もしもそうなら…。
璃央は混乱する頭の中を整理しながら、涼子を睨む。
だが先ほどとは違い、焦りの色も見られる。
「…何を知っているのか知らないが、脅しに屈するつもりは無い!!」
璃央はそう言い切って涼子を払い除けると、ズカズカと立ち去ってしまった。
涼子は意表を突かれたようで、唖然としていた。
しかし次の瞬間、目を細めて嬉しそうに笑う。
「へぇ、やっぱしこうじゃないと面白くないよね。」
昼の廊下、蝉の鳴き声がうるさく響き渡っていた。
最初のコメントを投稿しよう!