♥♠昼、一階廊下♦♣

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璃央は元々、涼子が嫌いだった。 自分と正反対の存在で奇抜い髪の色も、挑発的な性格も、全て気に入らない。 「会長って意外と負けず嫌いだよね?そこも悪くないけど…。」 「…なんです?」 ジリジリと壁においやられ、意地の悪い目で見下ろされる。 「もしアタシが、会長の秘密を知ってるって言ったらどうする?」 「……!?」 そういえば、今朝この女は屋上にいた。 まさか…いや、まだそうと決まった分けではない。 決まった分けではないが、もしもそうなら…。 璃央は混乱する頭の中を整理しながら、涼子を睨む。 だが先ほどとは違い、焦りの色も見られる。 「…何を知っているのか知らないが、脅しに屈するつもりは無い!!」 璃央はそう言い切って涼子を払い除けると、ズカズカと立ち去ってしまった。 涼子は意表を突かれたようで、唖然としていた。 しかし次の瞬間、目を細めて嬉しそうに笑う。 「へぇ、やっぱしこうじゃないと面白くないよね。」 昼の廊下、蝉の鳴き声がうるさく響き渡っていた。
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