第1章 越えられない壁

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「あーあ、春休みも、もうすぐ終わっちまうなー」 こんなぼやきを吐いているのは、この話の主人公こと、音無高瀬(おとなしたかせ)である。 「にぃにー、出かけようよー」 「だからっ!にぃにって呼ぶなって」 今一階から二階の、俺の部屋まで叫んだのは俺の妹の音無魅麗(おとなしみれい)だ。 「そんな毎日毎日、ぐぅたらしてると彼女なんか出来ないよー」 「わかった!わかったよっ!今から支度するから、下で待っててくれ」 「やったぁー☆」 「やれやれ…」 今、魅麗が言ったとおり、俺には彼女は居ない。考えた事も無かった。
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