第1章 越えられない壁

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「バックに付けてたストラップが…お兄ちゃんとお揃いのストラップを、ネコが取っていっちゃった」 どうやって取りやがったネコめ。 「また買ってやるよ」 「でも、あれは特別で……記念で……お揃いの……」 た、頼むから泣かないでくれよ。もう、涙目になってるし。 「わかったよ、取り戻せば良いんだろ?取り戻せば」 「ダ、ダメだよお兄ちゃん!走ったら、お兄ちゃんが!!」 俺はその声を背に受けながら、ネコを追った。 今走らなくて、何のための兄貴だ、足だ。このくらいもってくれよ、心臓さんよ。
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