第八章…∬終幕∬

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レンは階段を上がる…… 静かに…… 木の階段がギッ、ギッと小さく音を鳴らす。 階段を登り切ると、多くの国民がざわついている広場が見えた。 手前には、断頭台 レンは前に歩く… 一歩… 二歩…… 三歩……… 膝をつかされ、前屈みになり、両手と首を拘束された。 レン(僕は何を遺せたんだろう… ねぇ、リン……答えてよ。 僕は何のために生まれて何のために死んでいくの? ……意味なんてないよね) レンは俯かせていた顔をあげる。 一度広場を見渡す これが最期の景色か…… 改めて広場を見渡して、 レンは目を疑った…… リン! 叫びたかった! しかし、叫べなかった…… リンは、怒声を飛ばす群衆の中、たった一人だけ泣いていた。 僕はリンに向かって…… 微笑んだ。 その瞬間、あれほど騒がしかった広場は、音が世界から消えたかのように静かになった……。 そんな空間にふと鐘がなる…… 青い空だ…… 死刑執行人が僕に、言い残すことは?と聞いてきた。 レン「あら、おやつの時間だわ」 ザッ…… ゴトン……… それはとても静かな一瞬だった。
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