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「……あの、なぜそんなに瞳を輝かせているんですか?」
「貸し」
「えっ?」
「お前に貸しを作る。だから、数学の宿題手伝ってくれ!」
片手を顔にやり、お願いポーズをして試みる。
返事が聞こえないため、夏目の顔をちらりとみた。
「夏目……ダメか?」
「……あっ、いやその、間違ってもいいんですか?」
あわてふためきながら答えた。
「全然いいよ。解らないよかマシだしさ。じゃあ、この問題解いて」
「わかりました」
◇
正午過ぎ。ペンを放りだし、机にふせた。
「終わった~」
「終わりましたね」
イエーイと手を合わせようとした。が、夏目の手は確か透けてしまうのだ。
「夏目、せーので『イエーイ』って言うぞ」
「ええ!?」
「いいからほら、せーの」
「イエーイ」 「イエーィ?」
オレのノリに夏目は小さくだが、声を出しのってくれた。
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