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「ユウマさん……これって――」
「ごめんなさい」
教科書の最後の方のページを見ると、そこには解答と書かれていたのだ。
「答え、あったんだ」
「…………」
驚愕の真実を目にして、オレはは愕然としている。
恐る恐る、夏目をみた。怒っていると予想していた夏目の表情は、微笑していた。
「あれっ?夏目怒ってないのか?」
「怒る?なぜですか?」
「だって、答えがあるからさ。お前の苦労が水の泡じゃんか」
「そうですか?わたしはそうは思いませんよ」
夏目の言葉に、疑問符が頭に浮かんだ。
「だってユウマさんが問題を解けるようになりましたし」
「お前は損してんじゃん」
「何言ってるんですか。逆ですよ。得したんです。ユウマさん、わたしに『貸しを作る』って言ったじゃないですか」
「あ~」
すっかり忘れてた。
「忘れないで下さいね」
その言葉にオレはようやく一安心した。
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