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やっぱりソイツが口を動かすと、ケータイを通して声が聞こえる。
「初めまして、夏目ユズと言います」
「初めまして……って言っている場合じゃねー!お前誰だ!?」
「ユズです」
「いや名前はもういいよ!存在だよ!お前の存在!急に現れて何が目的だ!」
ケータイを持っていない片方の手で、夏目ユズと名乗るソイツを指差す。
あっ、やべ。かなり動揺して震えてる。
ソイツは近付いて来て、オレの目の前におりた。
なんか透き通ってきたんだけど……ってか近い!!
今まで女とはあまり接していなかったため、恥ずかしくなり、ソイツを払いのけるオレ。
「近付くな!もうちょい離れろ!」
「あっ、すみません」
すんなり指示に従ってくれた。
よくソイツを見てみると、現代人の制服を着ていた。そして足元までみてみる。……まてよ。微かに足透けてないか!?
「化け物!?」
「じゃないです!言うとしたら霊です!」
「威張って言うことじゃねー!呪いに来たのかテメェー!」
叫びまくるオレに対し、笑顔だった表情がガラリと変わった。真剣な眼差しで見つめる。
その表情にオレはゴクリと喉を鳴らした。
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