コール1 非通知からの出会い

5/6
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
   ソイツの口が開き、ケータイから言葉が告げられた。 「願いを叶えてほしいんです」 「……願い?」 「はい。わたしの“寂しさ”を埋めてほしいんです」 「はい?」  寂しさ?なんだそりゃ?取りあえずコイツ、害はないのか。ソイツの行動を見ているかぎり、殺されるなどといったものはみられない。  オレはソイツの言葉に拍子抜けしながら尋ねる。 「寂しさってどういうことだよ?」 「わたし、何故か寂しさで心が埋まらず、成仏出来なくなっていました。『誰かに埋めてもらいたい』と念じていたところ、貴方のケータイに繋がったのです。そして貴方の前に現れました」 「……ということは電源を切ればお前は消えると?」 「まぁ、一応そうですが……」 「ポチッとな」  電源ボタンを切ってみた。これで消えたと思って顔をあげると、平然とソイツは存在していた。 「話しが違うんだけど」 「わたしの意志がある限り、電話をし続けます。それより今確実に電源ボタン押しましたよね?」 「気のせいだと思ってくれ」
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!