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ソイツの口が開き、ケータイから言葉が告げられた。
「願いを叶えてほしいんです」
「……願い?」
「はい。わたしの“寂しさ”を埋めてほしいんです」
「はい?」
寂しさ?なんだそりゃ?取りあえずコイツ、害はないのか。ソイツの行動を見ているかぎり、殺されるなどといったものはみられない。
オレはソイツの言葉に拍子抜けしながら尋ねる。
「寂しさってどういうことだよ?」
「わたし、何故か寂しさで心が埋まらず、成仏出来なくなっていました。『誰かに埋めてもらいたい』と念じていたところ、貴方のケータイに繋がったのです。そして貴方の前に現れました」
「……ということは電源を切ればお前は消えると?」
「まぁ、一応そうですが……」
「ポチッとな」
電源ボタンを切ってみた。これで消えたと思って顔をあげると、平然とソイツは存在していた。
「話しが違うんだけど」
「わたしの意志がある限り、電話をし続けます。それより今確実に電源ボタン押しましたよね?」
「気のせいだと思ってくれ」
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