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少し気まずい空気が流れた。悪いのは自分です。はい。
気まずいままの空気を蹴散らすかのように、オレはソイツに話しかけた。
「なんでオレのケータイにかかったんだ?」
「それはわかりません」
「偶然ってことか。じゃあ、お前の声がケータイからじゃないと聞こえないのと一緒で、ケータイからじゃないとオレの声、伝わらないのか?」
「その通りです」
「結論から言うと、寂しさを埋めてやりゃお前は消える訳だな?」
「はい。なのでこれからよろしくお願いします……お名前は?」
ソイツの言葉にああ、と声をもらした。
「オレは間宮ユウマだ。名前は好き勝手に呼んでくれ……夏目」
「はい!よろしくお願いしますユウマさん。それでは今日は失礼させていただきます。何とぞ末永く、お付き合いしてください」
礼をした後、夏目はうっすらと透けて消えた。ケータイから、プーップーッと鳴っていた。
末永くってどんだけいるき?
今の出来事が起きたことにオレは正直信じがたかった。これからの夏の日々が最悪になっていくのか――。
「あっ、電池一個になってる」
はたまた最高の夏になっていくのかは、今のオレには想像などできなかった。
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