222人が本棚に入れています
本棚に追加
下唇を舌で舐める、その瞬間日向の中で戦闘開始のゴングが鳴り響いた。
「……………?」
突然俯き黙りこんだ日向。副会長は怪訝そうな顔で見て、しかし日向が悲しげな顔をしていることがわかると副会長は驚いた顔で顔を覗き込んできた。
「あの、副会長……」
再び俯いてしまった日向に困惑しながらも先程のように頭を撫でる副会長の手は震えていて。
それでも優しく撫でることは止めない。
「……どうしてこの学校に?」
「………理由はまだ話せないんです。でも女というのは隠す必要があるんです」
うっすら涙を浮かべる瞳。上目遣いで見つめて
固まる副会長に近づく。後ろに下がる様子も見られなく、ただただあたしを見つめるだけ。
そんな先輩の耳元に唇を近づけ囁くように言葉を紡いだ。
お願い、を。
「だから、あたしが女ということも、先輩が女性恐怖症かもしれないのも、あたし達だけの秘密ですよ?………公人先輩」
じゃないと、あたし何しちゃうかわかりませんよ?そう笑って固まる副会長の唇に自分のものを重ねる。
廊下のスピーカーから予鈴の鳴る音がした。
その音に日向はにっこり笑いながら離れ「では僕はもう行きますね」とだけ言って教室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!