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車椅子に乗った男が医者に付き添われて病院の中を進んでいく
重苦しい雰囲気の中、二人はある部屋の前で止まった
その部屋は薄汚れた白で覆われていた
部屋の奥には窓が一つあるようだ
カーテンが掛かっていてよく見えない
男は何も言わずに車椅子を動かし、一つだけ空いたベッドへ乱暴に移り座った
（なんで俺が……）
部屋を見回すと他に五人の患者がいた
「君はこれからはこの部屋に居てもらうことになる。なんというか……頑張ってくれ」
では、と院長が部屋を後にした
「……この部屋に移したのに“頑張れ”はないだろ」
男は小さく呟いた
病院の人間が患者に話すことなどないが、皆は気付いていた
“この部屋に移されたら後は死を待つだけ”
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