三章・奪われた声

7/8
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「ルールがあるんだね。」 「こっちの世界と同じだよ。」 「こっちの世界のルールはくだらないよ。」 あって無いようなものさと、歌い人は呟く様に言った。 「太郎はこの世界のルールに満足だったかい?国と言うものがあり、リーダーと言うものがいる。」 歌い人は建物の間から見える空を見上げる。 「何故国は必要なんだろうか?地球と言う一つの国でいいんじゃないかな?そうすれば国と国の戦争は無かった。内戦と言う言葉はあるだろうけど。」 「さっきの歌も、そんな歌詞でしたよね?」 「この答えだけが心残りさ。」 後悔 それを残して死ねば太郎の様に死神になる。 しかし歌い人の言葉には、僕は答えを返せない。 「天界にも神様と言うリーダーがいますよ。でも、その人は人の痛みが分かる人でした。僕らと同じ自殺者です。世界で初めの。」 太郎が空を指差し言った。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!