三章・奪われた声

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「神様…もうすぐ会えるんだろうねぇ」 そう言って歌い人はクスりと笑った。 「せめて答えを出してから死にましょうよ」 歌い人はポケットを探り出して小さな瓶を取り出した。その眼は酷く濁った色を宿している。 「無理だよ…」 「え?」 「もう答えは出てるんだ」 … その数分後 歌い人は静かに死んだ。 ・・・・・・・・・・ 「後悔はしてないだろ?」 「ええ、神様」 「答えは合って無いようなもの…か」 「間違っていますか?」 問掛けた人間は真っ直ぐに目の前の人物を見る。 神様と呼ばれた者は、ついさっき死んだ歌い人に振り向き、笑顔で答えた。 「答えは合って無いようなものさ」 そうだろう?。 と、言った。 歌い人はにっこりと笑った。
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