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「欲しかったんだろ?」
ご褒美が!? キスが!?
欲しかったけど欲しくないっ!
あぁでも棚ぼた…じゃなくてっ!!
アンタかなり意味不明!!
自分がなにしたかわかってんの!?
言いたいこと一杯あるし、ぶん殴るくらいのことはしてやりたいのに。
喉も頭も活動停止で動いてくれない。
ワケのわからなさで力が抜けて、ずるずる情けなくくず折れそうになる身体は、この人の腰に回された腕一本で支えられてる。
きっと、ほんの一瞬。
くすぐるような軽いキス。
でもキスされてるって自覚するのには十分な、長い時間。
ねぇ、ズルイよ…。
そんな温けぇ目で見られたら、なんもできねぇじゃん。
ひょっとしてオレ、バレバレだった??
よしのちゃんに気付かれてたくらいだからなぁ。
でもアンタ、もっとずっとニブそうなのに。
オレ今、アンタの腕の中に居るのな。
明日になったら、覚める夢?
なら、もっと。
腕を伸ばして、全部全部、忘れないように抱きついた。
「…今、だけ??」
今だけ、遊んでくれてんの?
男相手なんて、興味本位でしょ?
そもそもアンタが、生徒相手に本気になるわけないよね。
たとえオレが、女だったとしても。
「お前は褒美が欲しかったんだろう?」
それはつまり、ご褒美は一個でおしまいってコトだよね。
それでも、オレの腕を引き剥がそうとしない、腰に回った腕を解いてしまわない、アンタの優しいとこすごく好き。
良いよね…?
どうせ、もうバレてるんだし。
「あのプリント重かったんだからさ、も少し付き合ってよ…」
ヤバイ、声が震える。
いつも元気な英喜ちゃんでしょ?
ほら。
「オレ、さ…」
アンタのこと、めちゃくちゃに。
「…好き、だよ」
吐き出してしまうと。
もう、おっさんの顔なんか見れなかった。
泣き出しちゃいそうで、泣くのはなんかズルイ気がして、最後だからって言い聞かせながら一度。
最初で最後の胸に顔埋めて、キツク、抱き縋って。
離れた。
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