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「あんがとね、おっさん」
笑顔笑顔。
泣いたりしたら、男にしとくのもったいないくらいのプリティフェイスが台無しよ?
「『オレってば可愛さのあまりあのおっさんに遊ばれちゃってさぁ~』なんて、みんなには言わないでいてあげる」
全部、なかった。
なんも、なかった。
これで、終わり。
もう、オワリ。
「じゃね」
それでも、目だけはあわせられなくて。
カバンさらって、逃げ出そうとしたオレの腕は。
なぜかこの人に、繋ぎ留められた。
「それで良いのか?」
アンタ、オレになに言わせたいわけ!?
良いワケ、ねぇじゃん。
好きなのに。
こんな、まだめちゃくちゃ好きなのにっ!!
「良いワケっ…」
その目、ズリィ。
温けぇ、楽しそうな目。
誤解すんだろ!? 勘違いしちまうだろ!? 期待、しちまうじゃねぇか。
「褒美が欲しけりゃくれてやる」
え………??
なんも、見えないのは。
ちょっと、苦しいのは。
おっさんに、抱きしめられてるから…??
「いつでも、お前が欲しがれば」
直に、響くように声がする。
『何度でも、くれてやる』その低い囁きも、夢だろうか。
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