第七章 ソラとリュウザン(前編)

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第一関門とされる砦……イクタベーレ領において完全にイクタベーレ城の者が当地する砦。 此処を越えれば第二関門の砦があるにせよ、アイル王子のイクタベーレ城は目と鼻の先。 その砦には、大きな戦力が配備されているとは、考えられなかった。 第二関門の砦からイクタベーレ城間のルートに想像を絶する戦力が集中しているとアイルは予測していたのだ。 結果から言ってしまえばそれは的中だった……。 それと自分が当地する場所……遠慮などいらぬ。 そういった理由から、アイルは特に戦略を立てず、堂々と正面突破決行した。 また敵軍も、まさか正面から来ないだろうと考えているとも予測していた。 まさにそれも的中。 イクタベーレに来てアイルの戦略は相当冴えていた。 ただ予定と違ったのは、セイラに先発で乗り込むと言い出したのだ。 いや、正確には独立遊撃隊の権限で、「先行する」と言って勝手に飛行魔法ウイングで飛んで行ってしまったのだ。 だがアイルは何も咎めない。 それどころか「じゃあ頼みますセイラ王女」ときたものだ。 それだけ彼は彼女を信頼していた。 だからこそ独立遊撃隊という特に命令がない限り自分の判断で好きにやって良いという権限を与えたのだ。 結果、セイラはこの砦の指揮官を倒した直後に突入できた。 つまり指揮系統が乱れており、制圧があっさり済んだのだ。 そう…アイルの判断は間違ってなかった。 セイラの性分から、自由にやらした方が解放軍に取って都合の良い行動を取ってくれる。 常勝将軍の名は伊達ではない。 勿論、その力が物凄く、解放軍一の強さだと思っている。 それだけではない。 将軍の位を持つだけに統率力も相当なもの。 部下のバード部隊からの信任も厚く、セイラが反乱軍いるから自分達も……という感じで、自分の命すらも捧げている。 そんなバード部隊の彼女らを完全に統括するのはセイラしかいないとアイルは考えた。
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