第七章 ソラとリュウザン(前編)

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砦の屋上で景色を満喫するアイルの姿があった。 其処にジャイロがやって来る。 「アイル様!捕虜の方はどう致しますか?」 あの後……セイラが指揮官を倒した後、ほとんど兵達が投降してきた。 アイル達が突入した瞬間にこの状況だ。 アイルも流石に此処までやるとは思っていなかった。 セイラはシャルス城の一件で病み上がりなのだ。 にも関わらずとアイルは心底驚いた。 「戦意がない者は解放してあげてくれ」 「そう仰ると思っていました」 ジャイロは苦笑を浮かべ、また直ぐに真顔に戻る。 「……しかし、我々の動向が漏れますよ」 「良いんだ。どのみち直ぐに知られる事だよ」 アイルは微笑を浮かべ再び屋上から見える景色に視線を戻した。 「帰って…来たんですね……」 「ああ……だが此処は所詮イクタベーレ城が完全当地している場所にしかならない……私の城はまだもう少し先だ」 と言いつつもアイルは懐かしさを感じていた……二年ぶりの故国に……。 (そう……帰ってきたんだ。それなのに……) しかし、アイルは大きな悩みの種が一つあった。 アイルをの視線が下にいく……悩みの種が“いる”下へ……。 ジャイロもそれに気付く。 彼もイクタベーレ騎士団団長として頭を抱えずにはいられない。 彼等の視線の先……。 「てめぇ何を考えていやがる!?」 胸ぐらを掴み壁に叩き付けるイスカがいた。 それと…… 「どういうつもりだソラ!てめぇの部隊は裏手口から進入し、挟み撃ちにする作戦だった筈だ!!」 イスカが怒鳴り付けられるソラが……。 そう……実はアイルは一応戦略を立てていた。 ただ“期待できない”策を……。 こうなる事もわかっていた。 だが、アイルは彼を信じたかったのだ。 それは願いに近いものかもしれない。 彼はイクタベーレ陥落時からずっと一緒に戦ってきた“仲間”。 その仲間をこのままにしたくないのだ。 「なのに何故動かなかった!?」 なおもイスカの罵声が響く。 「……この程度の砦なら、そこまでしなくとも楽に落とせると思った」 何かに取り付かれかのような虚ろいだ目で答える。 そして決してイスカと視線を合わせない。 「確かにセイラがほとんどカタを付けた……だがよ、ふざけんなよ…理由になるかよっ!そんな事……おかしいぞ近頃のお前…リュウザンの事があってから……!」 ビクッ! とソラは一瞬だけ反応した。 たが直ぐに何かに取り付かれたような虚ろな瞳に戻ってしまう……。
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