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「もう良いじゃないですか…イスカさん」
背後からリビティナがイスカの肩に手を置いた。
「しかしっ!」
尚も止まらないイスカ。
「もう良いっ!!」
珍しくリビティナが怒鳴る。
次にじっとソラを見つめる。
「ソラさん!今回の事はもう良いです。ですがこれっきりでお願い致します……今はアイル王子にとって大事な時だと思います……それは“イクタベーレの騎士”である貴方ならよくわかっているのではないですか?」
無言でそっぽを向いたままだ。
「イスカさん!行きましょう」
リビティナはその場を後にした。
「ちっ!」
イスカは舌打ち一つ溢し、リビティナの後を追う。
……………
その後、アイルはジャイロと会議室に向かった。
席に付くと先に切り出したのはジャイロの方だ。
「シオン殿から聞きました。クラヴィスの事……この軍に“災いの火種”が設定されている可能性があると」
「うん……ジャイロはどう思う?」
「私が言うまでもなくそれが誰かわかっておいでてはありませんか?」
アイルの表情が暗くなる。
「奴は知略に長けた魔導士。その者がこの軍が内部崩壊させようと思った時、誰に目を付けるか……」
「……ジャイロ」
更にアイルが暗くなる。「私には、もう何もできません。後はアイル様のお考え一つで。ですが…ここはもうイクタベーレ。あの日より、既に二年が過ぎ、ようやく帰って来た我々の故国です。そして今の我々には二年前に無かったものがあります。アイル様は見つけていらっしゃる筈です」
「……うん。そうだね」
アイルが微笑を浮かべた。
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