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「というわけだ……」
アイルは再びソラを見つめる。
しかし、ソラは視線を合わせない。
「……やってくれるな…ソラ…」
真剣な眼差しに変わる。
「……はい」
一瞬だけアイルと視線を合わせ一言返事で返す。
「では、直ぐに準備を済ませ出立してくれ」
ソラは無言で扉に向う。
「それと……」
ソラがドアノブを掴み立ち止まる。
「本隊に影響を及ぼすから聞いておく……この中にいる者とジェリドは必要かい?」
「……いりません」
『!?』
ガチャ!
そのまま退室して行った。
「本当にこれで良いのか?アイル」
とシオン。
「私も同意見だ」
とセイラも便乗する。
「私もだ」
続けてサラも。
「アイル様……」
不安な面持ちのロッカ。
「良いんだ」
笑みを浮かべ返すアイル。
「だがよーあいつリュウザンが死んでから、おかしいぜ」
とシオンが再び切り返す。
「ああ……」
「そうだな……」
「リュウザンが死んでから……」
再び会議室がどよめき始めた。
「これが……」
「あの……」
アイルが返そうとすると、今まで黙っていたミオがアイルの言葉を遮るように挙手をしだす。
「……話が見えませんが、リュウザンさんなら、カラミアにいましたよ……私を牢屋から出してくれたんです…思い詰めた顔してましたけど」
『!?』
再びピタッと沈みかえる。
『なんだって!?』
今度はいっせいに立ち上がり、皆の声がハモる。
「えっ!?……だから…カラミアにいたって」
その全員に圧倒され、引き気味のミオ。
『誰が!?』
息ピッタリ。
再び皆の声がハモる。
「……リュウザンさん」
「なんで今まで黙っていた!?」
今度はアイルが一人で返す。
「てか、スパイ任務させてたんじゃないの?」
すっとんきょうに答える。
「そんな事はさせてない!!」
アイルが怒鳴る。
「そうなの?……確かにリュウザンさん…俺は自分の意志で此処にいるって言ってましたね……バリバリ無理してる感じでしたけど」
そう言うとアイルはミオの目の前に駆け寄り、肩を掴みかかった。
「それは本当なのか!?」
力を込めグングン揺らす。
「イタタタタ……」
「本当にそれはリュウザンなんだな!?」
「痛い痛い痛いよ」
と言いつつもミオは首でコクコクと頷いた。
そこでようやくアイルが手を離す。
「リュウザンが……生きてた…」
半分放心状態のような面持ちだ。
それだけ彼に衝撃を走らせた。
いや、彼だけではなく、その場の全員が驚いていた。
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