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「ありがとうございました。」
事務的な言葉を背に、私は重いレジ袋を持ってコンビニを後にした。
あの大量のお菓子をレジに乗せた時は、店員さんに絶対引かれたと思う。私ってば可哀想じゃない?
空笑いしながら溜め息を吐く私。器用だなぁ。
ポケットに入ってる鍵を確認しつつ、青に変わった信号を渡る。
ガサガサと音をたてながら横断歩道の真ん中あたりまで歩けば、甲高い金属音に似たそれが響いた。
五月蝿い音に驚いて振り向けば、車のヘッドライトが至近距離で私を照らしていて目が眩んだ。
ドッ、という鈍い音と同時に、私の体は宙に投げ出される。
と思ったら一瞬のうちに固い地面に打ち付けられて、体全部が折れたかと思うぐらい痛かった。
多分、頭も打ったんだと思う。「ヤバいなー」と心の中で呟いた。視界の端で赤い液体がコンクリートの上を流れていく。
重く下がる瞼に逆らえず、私は目を閉じた。
あーあ、お菓子、結構お金使ったのに。勿体ない…。
せめて食べてから死にたかった。
姉ちゃん、私の分も食べてくれ…
特にアイス。早くしないと、溶けちゃうよ。
ぷつん。黒で視界を潰された。
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