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指先に滴る血は、重力に寄せられ落ちる。その受け皿になっているのは制服である黒いスカートで、彼女のスカートは、もう黒より深い色になっていた。
赤い血はとても綺麗な色だと思っていたが、自分の体内から溢れてくるのは想像してたよりどす黒くて、「なんて汚い色だろう」と彼女は顔をしかめた。(といっても、彼女には表情を動かす力も殆ど残っていなかったので、気持ちの分だけ、だ。)
それでも、その赤が部屋のあちこちに広がっては、クリーム色の壁紙を汚していたので彼女はゆるゆると笑みを浮かべた。(彼女はあまり壁紙の色を気に入ってなかったのだ)
白いシャツと黒いスカートはどちらも真っ赤に漬けられて、さらに足にも床にも血が色を付けていたので、まるでお姫様が着る真っ赤なドレスみたいだ。
と夢を見て微笑む。
決して、乙女のピンクな気持ちではなく。どちらかと言うと、獣のような鋭く暗い気持ちでだが。(最初に考えてた通り、狂った女を演じているからだろう)
こんな光景、すごく狂気的ではないか!
彼女は満足気に嗤った。
そして彼女の視界は、黒とも赤とも言える(もしくは白だったかもしれない)何色かに塗りつぶされたのだった。
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