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それはとても短い、一瞬であったような出来事だったが、実際は彼女が思ってるよりずっと長い時間だった。
腕にカッターを刺すたびに体は拒絶するように重くなったし、彼女が部屋を見渡していたのだって、他人から見れば鈍いものだ。
そうしてたっぷり時間がかかり、彼女の血液は止めどなく床に散らばってしまったのだ。
それでも彼女はゆっくりと嘲笑っていたものだから、ついに体が冷たくなってしまった。
鉛を腹や頭に入れられたように重くなり、彼女は血溜まりの中に倒れ込んでしまう。
ところが彼女は、その飛沫が顔にはねても、反応どころか瞬きひとつしなかった
角度の変わった部屋の風景にも気付かずに、彼女はゆっくりと呼吸を終えた。
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