期待と不安

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学ランの下に赤のシャツを身につけ、髪型はリーゼント。 昔の学園ドラマに出てくるヤンキーの象徴みたいな集団。 取り巻きの女の子はミニスカにルーズソックス。 教室内は静まりかえっていて、その集団の話声だけが響いていた。 関わらないようにしよう。 そう思ってうつ向いたまま、私は席についた。 「おい。」 ヤンキーの集団の一人が大声をだした。 「おい。お前だよ。俺達に挨拶くらいしろよ。」 え?私の事? そう思いながらただうつ向いていた。 ガン! 大きな音共に体に衝撃が走った。 ヤンキーの一人が私の椅子を蹴ったのだ。 「兄貴に挨拶しろよ」 椅子を蹴った奴が私の髪を引っ張り、集団の前まで誘導する。 “兄貴” きっと真ん中にいるあいつの事だ。 「おはようございます。柳田久美です。」 促されるまま挨拶をした。 「俺はこのクラスのリーダーだ。逆らう事は許さない。ちゃんと覚えておけよ。」 「………はい。」 そう返事をするのが精一杯だった。
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