魔贈獣の姿

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「やはり駄目だ…」 仮面が呟いたのは暫くしてからだった。 陣の色も相変わらず赤いままだ。 「何故?歌は竜だけです。ガク様は竜じゃー」 ヘブが問うと、ガクと仮面が顔を合わせた。 仮面が頷いたので、ガクは口を開いた。 「片親が竜なんだ」 「でももう片方が人や妖怪ならそれは遺伝しないんじゃー」 「あぁ、だがー」 ガクは言うと仮面に見直した。 「だが、もう片親が霊珠子だ。だから俺は竜の形質が現れた」 言うとガクは拳を固く握った。 彼の顔が余りに暗いので、ヘブはそれ以上追求するのを止めた。 ガクと仮面の雰囲気からは親子の感じがしない。むしろ何かの壁がある様に思えた。 「で、どうすんだ?」 クルーラーが呆れた様に聞いた。 良くも悪くも彼の言葉が正しいものだったので、三人はそこで話を止めた。 「クルーラー、幻術使えるな?」 「あぁ。一応な」 「贅視(ぜいし)は?」 「使えるぜ?」 仮面は頷いてヘブとガクに振り向いた。 「お前等は離れてろ。 俺が空間を歪める。タイミングを図ってクルーラーは贅視をやってくれ。多分、それで向こう側の風景が見える」 「こちらの風景は見せられないのですか?」 「さあな。クルーラーと同時に俺が魔法を掛ける。 ただこちらの空間が歪むだけだから向こうは気付かないかもしれない」
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