44人が本棚に入れています
本棚に追加
暫くすると千歳とクルーラーがなだれ込み、動きの止まった妖魔達を倒した。
千歳は腕輪を飛ばし、それを妖魔に貫通させて倒していた。
クルーラーは槍の様な物を振り回し、妖魔を倒している。
「更夜様!!」
声がして更夜が下を向くと、ヘブと仮面が走ってくるのが分かった。
シドはどうしたのだろうかと姿を探せば、彼も蛇に巻き付かれていた。
蛇は白い。そして水色の丸が二つあるのが分かった。
「降りろ、魔贈獣」
仮面が言うと、更夜の身体は彼の両腕の上に置かれた。
「更夜様!あぁ…」
ヘブが涙目で更夜の手を握った。
彼の髪は暗闇でも金色に光り、更夜はそれを見て安心した。
ーこれは?ー
声が出ない更夜はヘブにそう訊いた。
ヘブは大丈夫、と言う。
「大丈夫です。仮面様の魔贈獣です」
ーシドさんのも?ー
「はい。あれは成來様の魔贈獣です」
ヘブが言うと、仮面は更夜を下に降ろし横にさせた。
水があったが、それは気にする程でもなかった。
「後で治癒魔法を掛けてやる。
…心臓は保つな?」
仮面はそう問い掛けた。
彼の表情は分からないが、その言葉が何処か弱々しいと更夜は感じた。
更夜が頷くと彼は更夜の髪を一撫でし、顔を上げて背を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!