力への意思

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今日 僕は教会にいった 僕はキリシタンでないけれど 牧師といると和むんだ 葡萄酒を飲みながら牧師の話を聞いていると 一人の男が乱暴に扉を開けて入ってきた ニーチェだ 何か喚いていた なだめる牧師を振り払い さんざんに暴れたあげく十字架を壊した 「力への意思 力への意思」 ニーチェはそう叫びながら飛び出していった 僕が掃除の手伝いを終えて帰ると途中 ニーチェが道端でフラフラしていた 僕は目を合わせないように通り過ぎようとしたとき ニーチェが僕を呼びとめた 「やい待て。その腕に抱えているものはなんだ」 僕は黙って聖書を示した ニーチェは僕の聖書を取り上げると真っ二つに引き裂いた 「お前には自我というものはないのか。祈る暇があるなら、勤勉したらどうだ。自分を救えるのは自分だけだ。力を求めぬ弱い者など、生きる本当の喜びを知らない愚か者だ」 廃人になった今もなお ニーチェは超人を目指していた
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