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「……」
「こ…これがルナストーン?」
二人の前に巨大な石が浮いている。その石には呪文のような文字が浮かんでいる。
「二人共お疲れ様。さぁこちらにおいで」
二人に女の人が声をかけてきた。
「誰?」
「なおちゃん…この人透けてる!ゆ…ゆ…幽霊?」
怯える二人に女の人が近づいてくる。
「私は幽霊ではありません!!私の名前はルナよ!」
「えぇー!ルナ様!?」
びっくりした二人の声が洞窟に響き渡る。
月の光がルナストーンを照らす…
ルナストーンは月の光で青く光る…
その光を求めて妖精や精霊達が集まる…
「さぁ奈緒美ちゃん魔法陣に入って」
「はい」
奈緒美はルナに言われた通り魔法陣に入る。
「うぅ~ん…」
ルナは呪文を唱えだした。
「さすが氷室家のお嬢様ね」
奈緒美の魔法陣が青く光る。
「さぁ奈緒美ちゃん…あなたと水の精霊ウンディーネとの契約の証…水の魔術書よ…」
奈緒美の前に水色の魔術書が浮いている。
「これが…私の魔術書…」
奈緒美は魔術書を抱きしめた。
「さぁ次は莉奈ちゃんよ。こちらへ…」
莉奈は緊張した様子で魔法陣に入る。
「……やっぱり…」
ルナの顔が暗くなる。
「ルナ様?」
ルナはためらった後重い口を開く。
「莉奈ちゃん…あなた…無属性なのよ」
ルナから衝撃的な言葉を耳にした莉奈の目から大粒の涙が流れていた。この魔法の世界で無属性は大変珍しく異端児扱いされてきた。言わば魔力も持たず魔法も使えないと言うことである。
「……うぅっ」
莉奈は洞窟の出口へ駆け出した。
「莉奈ちゃん!」
ルナの呼び掛けを無視して駆け出す。
「奈緒美ちゃん…」
「はぃ?」
ルナは寂しそうな顔と声で呪文を唱えると魔法陣から美しい装飾の剣が出てきた。
「これは私の魔力と加護が宿っている月の剣よ…これを莉奈ちゃんに…」
「わかりました!ルナ様すみません!」
奈緒美はルナに一礼して莉奈を追う。
月が丸く美しい夜莉奈は自分の部屋でずっと泣いていた。心配した奈緒美が莉奈の部屋に入ってきた。
「莉奈ちゃん…?」
「……うぅっ」
ベットの上で泣き続ける莉奈を奈緒美がそっと抱きしめる。
とても暖かく感じた。
「莉奈ちゃんが無属性でもなんでも私達ずっと一緒だよ…ずっと…ずっと親友なんだから…私達の絆は誰にも切ることはできないんだから…だから…だから…」
莉奈は涙でぐちゃくちゃになった瞳で奈緒美を見た。
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