甘党の男

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額の汗が流れて唇に触れた。 カサカサの唇に水分がじんわりとしみて、ふと我に返る。 気が付くと、駅へ向かう通学路を全力疾走していた。 駅まではもう100mほど。 同じ学校の制服姿の女子のグループがせわしなく改札を行ききする姿も見える。 呼吸を整え、走ったせいでしわの寄った制服を片手で直して。 なぜだろう。 このまま素直に駅へ向かうのは違うような気がした。 いつもの気まぐれなのだろうか。
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