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薄暗い教室が見える。
黒板、机、椅子、壁にかけてある掃除当番表、そして男の人。
まぶたはまだ完全には開いていなくて、その隙間からかすかに見える文字。
今の時間は英語だろうか、古文だっただろうか。
でも、もうそんなことはどうでも良くて。
「おい、三宅。堂々と二度寝するな」
一番前の席は居眠りのバレない、意外な穴場だって言っていたのは誰だったっけ。
渋くて低い、無駄に良い声が響くと、静まり返っていた教室のあちらこちらから笑い声が漏れる。
私はまだ半分夢の中。
顔を上げると、かすかに見えていた渋い声の男の人が教科書を持って目の前に立っていた。
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