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「母さーん!
直樹のとこ行って来る!」
俺の声に台所で用事をしていた母さんが居間にやって来た
「外は危ないからダメだって言ってるでしょ!」
手を見ると包丁を持ったまま…
恐いよ…母さん…
「違うんだ。理科の宿題で昆虫の事を調べないといけないんだ」
理科の宿題の紙をヒラヒラと見せつける
「…暗くなる前には帰るのよ」
母さんも宿題とあっては渋々と認めるしかなかったようだ
俺は急いで自分の部屋に戻り出かける用意を済ませる
たいした荷物もないが…
「じゃあ、行って来ます!」
「気を付けて行くのよ!」
心配そうに玄関で見送る母さんに手を振り答える
「大丈夫だって!行って来ます!」
こうして俺は家を出た
それは宿題からの解放を意味していた
大人なんてチョロいもんだ
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