【The third parts】     ―Double action―

34/36
70人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
 割れた空から湧き出る何か。それは漆黒の闇にも負けないほどの黒さを持つ巨人であった。だが、薫はこれが巨人でないことを知っている。知ってしまっていた。 「――ッ! 魔導機械ッ!!」  流線型ながら巨大なフォルムに、重々しい機動音。各部位に付けられた様々な重火器。一歩地面に足を踏み落とすだけで、マントルまで陥没させてしまいそうなオーラを放つ。  そして、その黒い巨人の外見で一番目がいくのが、ライトアーム装備された巨大なリボルバー。黒い巨人自体の全高はおよそ10Mほどだが、そのリボルバーの全長は3Mにも及んでいる。まさに全身兵器と呼ぶに相応しい出で立ちな魔導機械に椿山薫は思わず息を飲む。  椿山薫は小さなパニックに陥っていた。如月が卒倒直後に空が割れで魔導機械の登場。幾らなんでも、意味が分からな過ぎる。だから、その苛立ちを事の元凶にぶつける。 「お前ら、たかが如月一人を潰すためにに二人縢りで、しかも魔導機械まで出してくるなんて意味あんのかよッ! よく見やがれッ!! 今ここにぶっ倒れてんのはどっからどう見てもただの女の子だろうが!? そこまで徹底して潰す意味があんのかよ?」  如月を支える腕に力が入る。未だに腕を伝い、如月の体温を感じる。こいつは生きている。そう薫は実感出来る。当たり前だけど、当たり前じゃない。そんな気持ちが蠢いて。だから、薫は叫んだ。この理不尽な状況に、この理不尽な暴力に。何が変わるわけでもないのに。  それでも叫ばないよりかは、行動しないよりかはマシだと薫は思う。何故なら、助けれるかも知れないのに助けない奴はただの大馬鹿野郎だと感じていたからだ。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!