70人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
「ふっ、ただの女の子なぁ。よし、ガキッ! お前も俺と一つ賭けをしねぇか」
麻綱一輝は僅かな微笑を浮かべるだけで薫の問い掛けに相も変わらず答えない。
「あ゛? 何いってやがんだッ!?」
当然、頭に血が上った薫の耳には入らないが、そんなこと摩綱は気にはしない。
「そうカッカすんなよ。
・・・・
俺らは俺らがアイツらを潰すに賭ける。お前はお前が如月(ソイツ)を護ることに賭ける。どっちが勝っても損得は無しだ。簡単な賭けだろ? なんか文句あっか?」
にやりと邪(よこしま)な笑みを浮かべる麻綱は、ポケットからコインを取り出して、空中に親指で打ち出す。くるくると回転するコインをしっかりと片手で横殴りにキャッチするも、表か裏かなど些細な事を麻綱は確認しない。
「意味わかんねぇんだよ……、」
薫は吐き捨てるように言った。
「お前らが言うことは何一つだ! 大体あの魔導機械はお前らが喚んだんだろうがッ!? お前らが喚んだもんお前でぶっ壊してなんのメリットがあんだよ。大体如月を殺そうとしてたんだろうが、ならなんで俺が如月を助けるのを助ける? お前らの行動全体が不可解なんだよ!!」
「ハハッ! いいじゃねぇか。お前にしか得がねぇ賭けなんて滅多にねぇぜ」
セレステが補足を入れる。
「一輝それは賭けなんていいませんよ。そんなの負けると判ってる駒に全額賭けるようなもんです」
「いいンだよ。ただ儲けるのが、カジノの主人(オーナー)じゃねぇだけの違いだ。ってか、ほら無駄口ばっか叩いてたら、ゾロゾロ着ちまったじゃねぇか」
椿山薫、麻綱一輝、セレステのそれぞれがひび割れた天蓋を見上げると、そこには驚愕の事実が口を開けて待っていた。
最初のコメントを投稿しよう!