【The third parts】     ―Double action―

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「は…………。は、はははは」  天空を見上げたまま呆然とする薫は言葉を零すようにして失笑する。その表情は限りなく絶望に満ちている。 「もう本当に意味がわかんねぇや……。何だよ? 何なんだよこれはァッ!?」  叫びを上げる椿山薫が目にしたものそれは、 「なぁ、セレステいけるか? 俺は自信ねぇな」 「ご冗談を。余裕に決まってますよ。プロですから。あんな ・・・・・・・・・・・ たかが数十体の魔導機械を潰すことなんて造作もない」  今現在薫の頭上に浮かんでいるもの。それはひび割れた空、暗黒虚無から飛び出そうとする【魔導機械】数十体。  今目に映るのだけを数えても約40機。絶望的な物量だった。しかし、不幸中の幸いか、暗黒虚無とこの世界に何かしらの障害があるのか今のところは侵入はない。  だが、それでも一番最初に観た流線型の黒い巨人の姿が、約40機ひび割れた空間から覗き込んでいるという事実は覆らない。 「あァ、そうだ餓鬼。一つ賭けの条件を追加しといてやるよ。死んだ奴はその時点で賭けは負けだ」  またしてもにやりと微笑をする麻綱一輝。この男はこの絶望的な戦場下で笑っている。しかし、薫はそんなことを聴く余裕はない。何故ならひび割れて壊れきった空にさらに大きな雷(いかずち)の亀裂が走ったからだ。 「オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」  空が壊れるような咆哮でリアルに空が崩壊する。陥没した天蓋からはまるで巣穴から湧き出る蟻の如く【魔導機械】が吹き出し、空一面を【魔導機械】と云う名の黒い闇が覆い、赤い瞳が満天の空を想わせる。  麻綱一輝は嫌みを込めた声でこの蠢く空の重厚音にも負けないほど叫ぶ。 「せいぜい、お互い最悪(サイコー)なギャンブルをしようぜ。クソガキ」
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