戸の前

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戸の前

教室から笑い声。 きーちゃんの声やな。 また、どうせ、あたしかふーの悪口やろ。 嫌いやないで、そないなとこ。 やけん、みんな知っとるで。 そばに居らんからって、悪口言うとんの。 あっきに言うとんのやろ。 こないだ、あっきの悪口言うとったんにな。 「なあ、そう思わん?うち、やっちゃんのあーゆーとこ、嫌やわぁ。何かさ、ばかにしとんの、って思うねん」 あ、ほら。やっぱり、あたしの悪口やった。 当たっても、嬉しないわ。 「おん、そうやね」 ケンカしたから、ってそれはないやろ。 ばかにしてんのはそっちやないの。 見損なったで、あっき。 あっきにとってのあたしはそんだけの存在やったんやな。 分かったで。 あたしは、あっきを否定する気ぃはなかったんやで。 信頼を損ねたんは、どっちが先やろな。 なぁ、あっき。 今までの時間はなんやったんやろ。 あたしらが積み上げて来たもんて、何やろな。 それって、そないな簡単に崩れるもんなんやな。 あっき、あたしは、そんなもんやない、って信じたいで。 やから、嘘やって言うて。 ほら、はよ言うてや。 なぁ、あっき。
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