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朝
分かってる。
二人とも悪くないんやて。
ただ、時期が悪かってん。
「おはよう」
あっきかと、思うて勢いよく振り返ったら、びっくりされた。
当たり前やんな。
阿呆はあたしや。
昨日、ケンカしたばっかやのに、あのあっきが話しかけてくるわけないやんか。
阿呆。
あたしも、あっきも阿呆や。
「ぁ。ふー、おはようさん」
せやけど。
顔には出さないて決めてん。
迷惑はかけたくない。
「どないしたんよ、思いっきり振り返って」
「いや、な。昨日、テケテケの話しを聞いてん。やから、びっくりしたんやって」
嘘。
だいたい、テケテケはハサミやろ、ハサミ。それか、坂やな。
「ん?やっちゃん、それは、ふーがテケテケ言うてるんやんな?」
ちゃうて。
や、あ。そうなるんか。
「ええやんか。ふーみたいんな、可愛えテケテケなら、テイク・アウトやで」
「もーう、誤魔化してるやろ!やっちゃんは頭ええからて!」
「ちゃう、って。ふーは可愛えで」
ほっぺにちゅーしてみてん。
まぁ。いつものことやねんけどなあ。
「大好きやで、ふー」
冗談混じりに呟いたら、ふーもやで、って。
あぁ、何か、ほっとしてまう自分が居んねんな。
現金やな、なんて。
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