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球技大会も近いある日 グラウンドで体育の授業の後校舎に向かいながら、ふと見上げる屋上。 スッと人影が見えたような気がした。 「腹減った~、メシメシ~」 「谷川は弁当?」 「ああ…」 「い~なぁ、パンじゃ物足んねー」 話しかけられて、目を離して、も一回視線を屋上に上げたけれど、何も見えなかった。 細い華奢な線はそうだったような… 三浦先生とは、あれから大して話したりする事もなく廊下で挨拶する程度。 いつも女子の誰かしらがくっついて、男共が近づく隙なんかない。 今日も授業の終わり纏わりつかれて教室から出ていく 「…なんか、大変だよな。羨ましいとか最初だけだわ。ハハ…」 隣の席の三好が同情するようにポツリ 「そっか…?」 大悟は興味なざげに返事するが胸中は そうかも いくら生徒にモテたってな 俺でさえ女子高生なんてガキ臭いと思うのに それでも、仮面みたいに変わらぬ笑顔 変わらぬ笑顔…? ハタと思う。 「笑ってんじゃないんだ…」 「あ…?」 「いや」 笑顔の仮面?そんな事を考えた。 あれからバイト先の文具売り場の綺麗なお姉さんは、大悟が品だししていると、ジュースのコーナーに度々現れる 「お疲れ様。」 「お疲れ様です。」 ミネラルウォーターを一つ手に取って 「気が向いたら、メール頂戴。」 小さな紙切れを渡される それはとっても手慣れた仕草で 一応受け取ったけれども 「俺、今仕事中、わかってんの?」 自分でも、冷たい言い方だったと思った。 「わかってるよ」 綺麗なお姉さんは全く動じず、にっこり笑う。 「そういうとこが好き。」 ストレートにそう言った。
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